シネコラム

第56回 オーガズモ

第56回 オーガズモ

平成十三年三月(2001)
高田馬場 早稲田松竹

 

 モルモン教布教のためにハリウッドを訪れた田舎の青年ジョーが主人公。いきなり特定の新興宗教を茶化して笑いにしているのだ。
 ジョーがたまたま伝道に訪ねた家が三流ポルノ映画の製作現場。主演俳優が下ろされたばかり。監督は二枚目で体格のいい彼に目をつけ、主演のセックスヒーロー、キャプテンオーガズモ役に抜擢する。ジョーは悩むが、故郷ユタ州のフィアンセに電話し映画に出るというと、彼女は内容を知らず、大金が貰えるのならと大賛成。
 スーパーヒーローが悪の組織と戦う大筋。悪人になぶりものにされている裸の美女をヒーローがオーガズム光線で救い、仲良くセックスするという最初から最後までポルノで描かれたヒーローもののパロディなのだ。
 これが隠れたヒット作品となり、ポルノ大賞を受賞。ジョーは一躍スターとなる。監督はさっそく続編の製作を決定。次々と作られるオーガズモの映画。
 醜い怪物のような女性に強姦されながら、フィアンセとの楽しかった日々が頭をよぎるジョー。オーガズモ光線の効かないタマなし悪人との戦い。
 監督はこのシリーズが続く限り、永遠にジョーを拘束しようとするが、さすがにジョーは拒否する。ジョーの主演映画が『セールスマンの死』だと信じてフィアンセが田舎から出てきたのを監督が誘拐し、ジョーに続編に主演し続けるよう脅迫する。
 オーガズモの相棒ベン。コンプレックスの固まりで、女性にもてないためにポルノに出演しているが、実生活では様々な特許を持つ天才科学者。映画に出てくるオーガズモ光線の実用化に成功していた。
 ジョーとベンが現実の世界でもコンビを組み、ほんもののオーガズム光線で悪人たちをやっつけ、悪徳監督からフィアンセを救う。
 すべてが馬鹿馬鹿しく、よくできている。

 

オーガズモ/Orgazmo
1997 アメリカ/公開2000
監督:トレイ・パーカー
出演:トレイ・パーカー、ディーアン・バッハー、ロビン・ライン、マイケル・ディーン・ジェイコブズ