シネコラム

第36回 アリー スター誕生

第36回 アリー スター誕生

平成三十年十二月(2018)
西新橋 ワーナーブラザース試写室

 

 ジャクソン・メインは有名な人気歌手だった。アリーは歌手を目指しながらもチャンスがなく、ウェイトレスをしていた。
 偶然にふたりは出会い、彼は彼女の魅力に気づき、彼女が売り出すきっかけを作る。やがて、ふたりは愛し合い、結婚する。
 だが、運命は皮肉にも、彼女がスター街道をまっしぐらに昇っていくのとは反対に、彼はどんどん落ち目になり、彼女のグラミー賞新人賞受賞の晴れ舞台を、酔っぱらって台無しにしてしまう。
 四度目の『スタア誕生』である。
 オリジナルは戦前の一九三七年で、主演はジャネット・ゲイナー。田舎から女優を目指してハリウッドへやってきた女性が、なかなか仕事がなく、パーティのコンパニオンをしているときに大物スター俳優と出会い、それがきっかけで売り出し、彼と結婚するも、酒浸りの彼は落ち目になって……。
『アリー スター誕生』では設定が俳優から歌手に変わっているが、ストーリーはほぼ同じ。ふたりが初めて出会った日、別れ際に呼び止めて、振り返った彼女に彼が言うせりふも。
 さすがにレディ・ガガ、最初の『ラヴィアンローズ』から、観客の心をつかんでしまう。でなければ、映画が嘘になる。ジャック役で監督まで務めたブラッドリー・クーパーもまた、こんなに歌がうまいとは。
 著名な名作のリメイクはオリジナルに及ばないことが多いのだが、『スタア誕生』に関しては一九五四年のジュディー・ガーランド版、一九七六年のバーブラ・ストライサンド版、ともに評価が高い。

 

アリー スター誕生/A Star Is Born
2018 アメリカ/公開2018
監督:ブラッドリー・クーパー
出演:レディ・ガガブラッドリー・クーパー、アンドリュー・ダイス・クレイ