シネコラム

第12回 キングコング対ゴジラ

飯島一次の『映画に溺れて』

第12回 キングコング対ゴジラ

昭和三十七年八月(1962)
大阪 梅田

 

 私のゴジラ映画初体験は小学校三年のとき、父と観た『キングコング対ゴジラ』だった。
 第一作『ゴジラ』が公開されたのが一九五四年、ということは、私が生まれた翌年にゴジラが世に出たわけだし、話題作でもあったから、当然ながら幼い私もゴジラの存在は知っていた。が、なかなか映画館で観る機会はなかった。
 一方『キングコング』もアメリカの巨大なゴリラの話として、事前に知っていたと思う。TVで古いアメリカ映画はしょっちゅう放送されており、それを見ていたかもしれない。
 その有名な二大怪獣が対決するのだ。わくわくして、観に行く前からうれしくて仕方がなかった。

 夏休みの宿題の絵日記に、私は大きな岩を持ち上げているキングコングを描いて、先生に褒めてもらった。そのことは鮮明に記憶している。
 大人になってからわかったのだが、ゴジラキングコングは実は大きさがかなり違うのだ。人間と比べると、どちらも大きいが、ビルを踏み潰すゴジラはビルによじのぼるキングコングよりもはるかに巨大なはずだ。それを同じ大きさにして戦わせる。
 コンピュータグラフィックスのない時代、コマ撮り撮影も手間がかかるので、キングコングゴジラも、着ぐるみの中に人が入っている。だからほぼ同じ大きさなのだった
 その後、モスラキングギドラなど、怪獣同士がやたら戦うだけの映画が次々と量産されると、私は怪獣ものにはまったく興味がなくなってしまった。
 それはそうと、キングコングゴジラが取っ組み合って海に落ちるラストシーンは、あのライヘンバッハの最後の事件が参考になっているのだろうか。

 

キングコング対ゴジラ
1962
監督:本多猪四郎
出演:高島忠夫佐原健二藤木悠浜美枝若林映子平田昭彦

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