第692回 がんばれ!ベアーズ
昭和五十二年十一月(1977)大阪 天王寺 ステーションシネマ
ウォルター・マッソーは喜劇俳優として高く評価されている。私は学生時代に『シャレード』『ハロー・ドーリー』『サブウェイ・パニック』など名画座で観たが、一番好きなのはイングリット・バーグマンと共演の『サボテンの花』である。
他にマッソー主演作で忘れられないスポーツ喜劇が『がんばれ!ベアーズ』で、これも封切りで見逃し、当時大阪の天王寺駅の地下にあったステーションシネマで観た。昔は名画座や二番館があちこちにあり、重宝したものだ。
一九二〇年生まれのマッソーは『がんばれ! ベアーズ』当時は五十代半ば。だが相当に疲れた初老に見えた。同じ時期に公開された『コッチおじさん』では、老け作りで老人になっていたから、元々老け顔なのだろう。
最下位の弱小少年野球チーム、ベアーズのコーチとして雇われる元マイナーリーグの選手バターメーカー。今はプールの清掃業で暮らしているが、缶ビールにウイスキーを垂らして飲むほどの酒好きで、練習中も常に缶ビールを手にしながらチームを指導する。
少年たちはそんなバターメーカーを馬鹿にして、生意気に反発。が、全員が野球はまったく下手。ここまで下手なのに、どうしてチームを作っているのか疑問に思える程。
最初の試合は26対0で大敗。あまりの屈辱に少年たちはチームを辞めようとする。そこでバターメーカーが一念発起、今諦めれば、それが習慣になるぞ。
テイタム・オニールの名ピッチャー少女とジャッキー・アール・ヘイリーの不良少年をチームに加えて、なんとか勝ち進む。ヴィック・モローがパワハラコーチを務める嫌味な最強チームとの決勝戦、結果はいかに。
私は現実の野球にはまったく興味はないが、野球映画は好きだ。野球に限らず、駄目なチームが最後に力を発揮するスポーツ映画もわくわくする。日本では周防正行監督の『シコふんじゃった』が大学の弱小相撲部を題材にして、ベアーズとほぼ同様の展開を見せる。
がんばれ!ベアーズ/The Bad News Bears
1976 アメリカ/公開1976
監督:マイケル・リッチー
出演:ウォルター・マッソー、テイタム・オニール、ヴィック・モロー、ベン・ピアッツァ、ジョイス・ヴァン・パタン、デヴィッド・スタンボー、アルフレッド・W・ラター、クリス・バーンズ、ジャッキー・アール・ヘイリー 、デヴィッド・ポロック