シネコラム

第681回 レッド・ワン

飯島一次の『映画に溺れて』

第681回 レッド・ワン

令和六年十一月(2024)
立川 シネマシティ

 

 クリスマスには奇跡が起きる。サンタクロースはトナカイの橇に乗り、いい子にプレゼントを配って回る。サンタの存在を信じてプレゼントを待っている子供の数は全世界に何億人もいるかもしれない。たった一晩で回れるのか。
 北極の秘密の町、そこにサンタクロースを支える組織があり、クリスマスのために一年中働いているのだ。サンタこと聖ニコラウスのコードネームはレッド・ワン。
 サンタを信じなかった悪い子のジャックは大人になって小悪党になった。ウルフと呼ばれるハッカーで金のためなら汚い仕事もやる。ジャックのせいで北極の秘密の町への侵入経路が悪の一味に知られ、イブの直前にサンタクロースが拉致される。見つからなければ、クリスマスはやってこない。
 サンタの護衛長官カラムがジャックを追い詰め、サンタ救出に協力させる。カラムがザ・ロックのドウェイン・ジョンソン。ジャックがキャプテン・アメリカのクリス・エヴァンス。となれば、ファンタジーであり、冒険アクションになる。
 聖ニコラウスにはクランプスと呼ばれる弟がいて、クリスマスにいい子にプレゼントする兄に対し、悪い子リストを作り罰を与えようとしたので、仲違いとなった。クランプスは頭に角の生えた鬼であり、ドイツ圏の魔物のボスでもある。悪い子を脅すのは日本のナマハゲに似ている。カラムとジャックはクランプスの魔界に侵入し、サンタクロースを拉致したのが何者かを知る。
 世界中の悪い子全部に厳しい報いを与えようとする者がいるのだ。身勝手な大人たちが世の中を悪くしている。だが、子供の頃の心があれば、まだ救いはあるのでは。
 玩具屋の奥の扉はドラえもんのどこでもドアと同じで、世界中の玩具屋の扉に通じている。カラムが持つ魔法の道具、玩具を本物に変換する光線を見て、ワンダーウーマンのフィギアを欲しがるジャックに思わず共感。本物になるのなら、バービー人形でもいいが。

レッド・ワン/Red One
2024 アメリカ/公開2024
監督:ジェイク・カスダン
出演:ドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ルーシー・リュー、J・K・シモンズ、キーナン・シプカ、ボニー・ハント、レイナルド・ファバーレ、クリストファー・ヒヴュ、ニック・クロール、ウェスリー・キンメル

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