シネコラム

第571回 夕陽の群盗

飯島一次の『映画に溺れて』

第571回 夕陽の群盗

昭和五十年七月(1975)
大阪 中之島 SABホール

 

 ジェフ・ブリッジスが『ラスト・ショー』と同類の不良少年を演じる『夕陽の群盗』は、一九七〇年代に大阪中之島のSABホール西部劇特集で『男の出発』と二本立てだった。他に『ワイルドバンチ』『砂漠の流れ者』『テキサス魂』などもここの特集上映会で観た。
 一八六三年、南北戦争の北軍徴兵を逃れた青年ドリューは、ひとりでたどり着いた町で偶然声をかけてきたジェイクに殴られて金を奪われる。が、結局、ジェイクをリーダーとする五人の不良少年グループの仲間となって、いっしょに西を目指して旅に出る。
 ジェイクがジェフ・ブリッジス、育ちのいいドリューがバリー・ブラウン、グループの中には若きジョン・サヴェージもいた。彼らは旅の途中に盗みを働いたり、やたら銃をぶっ放したりするが、凶悪なならず者一味に襲われ金を奪われたりもする。
 民家の鶏を盗もうとして、グループ最年少の子供が頭を撃たれて死んだり、仲間割れして馬を持って出て行った二人組が路上に吊るされて死んでいたり。
 結局、ドリューはジェイクとふたりになって旅を続けるが、ならず者一味と再会して銃撃戦となる。ドリューとジェイクはなんとか生き延びて、喧嘩しながらもふたりで旅を続けるのだろう。
 ならず者の中に『男の出発』のジェフリー・ルイスや『ロンゲストヤード』のエド・ローターがいて、うれしかった。当時の大人たちはほとんどが故人となっているし、バリー・ブラウンのその後も不明だが、いぶし銀のごとくブリッジスは健在である。
 監督のロバート・ベントンは『夕陽の群盗』が初監督作品で、その前に『俺たちに明日はない』で脚本に加わっており、『クレイマークレイマー』やジェフ・ブリッジスとキム・ベイシンガーが共演した犯罪コメディ『消えたセクシーショット』も監督している。

夕陽の群盗/Bad Company
1972 アメリカ/公開1973
監督:ロバート・ベントン
出演:ジェフ・ブリッジス、バリー・ブラウン、ジム・デイヴィス、ジョン・サヴェージ、ジェリー・ハウザー、デイモン・コファー、ジョシュア・ヒル・ルイス、ジェフリー・ルイス、レイモンド・ガス、エドワード・ローター、ジョン・クエイド、デヴィッド・ハドルストン

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