第537回 フリントストーン モダン石器時代
平成七年七月(1995)
池袋 文芸坐
ラクエル・ウェルチ主演の『恐竜100万年』は一九六〇年代半ば、映画館で見逃し、一九七〇年にTV放送でようやく観られた。その後、同じ英国ハマーフィルムの『恐竜時代』は一九七二年に映画館で観た。どちらも美女が露出度の過激な毛皮の衣装で暴れ回るセクシー映画だった。だが、果たして恐竜と人類は地球上で共存していたのだろうか。
アニメーションの原始家族はTVで子供の頃から見ている。背景は恐竜の生存する太古だが、そこは一九六〇年代風のアメリカのサラリーマン社会であり、マイカー、マイホーム、会社のオフィス、ボーリング場、マクドナルドやコーラの自動販売機など、石器時代なのに存在しており、多くの動力は恐竜のパワーによる。新聞は石の板、冷蔵庫は石室で、石のドアには石のメモ用紙が止めてある。
主人公の名前もフレッド・フリントストーンというアメリカ人そのもの。今回の実写版では破壊的な存在感のあるジョン・グッドマンが間抜けぶりを強調して演じている。まるで漫画から抜け出てきたよう。恐竜のクレーンで岩石を運ぶのが仕事。腹黒い悪重役クリフの陰謀で副社長に抜擢され、金使いの荒い横柄でいやな男になってしまうが、隣人との友情が壊れ、妻子が家を出てしまったあげく、横領の罪を着せられ警察に追われる内に、元の善良な自分を取り戻す。
最後はクリフをやっつけ偶然にコンクリートを発明してしまうが、重役の椅子を蹴って、労働者仲間の元に戻る。
親友のバーニーがリック・モラニス、フレッドの愛妻がエリザベス・パーキンス、ラクエル・ウェルチほどの弱小毛皮ではないが、美人のパーキンスはなかなかセクシーなのがいい。色っぽい副社長秘書がハル・ベリー。娘の夫を出世と無縁なぐうたらと馬鹿にする意地悪な姑がなんと老いたエリザベス・テーラーというのもすごい配役である。
この原作のアニメは日本では消費者金融のコマーシャルにも使われていたようだが、やはり実写版がよくできている。
フリントストーン モダン石器時/The Flintstones
1994 アメリカ/公開1994
監督:ブライアン・レヴァント
出演:ジョン・グッドマン、リック・モラニス、エリザベス・パーキンス、ロージー・オドネル、カイル・マクラクラン、ハル・ベリー、エリザベス・テイラー