シネコラム

第509回 バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

第509回 バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

令和四年七月(2022)
吉祥寺 アップリンク吉祥寺

 

 バットマンではなく、バッドマンである。
 DCやマーベルのアメリカンコミックを意識したパロディではあるが、フランス映画なのでひねりがあり、下ネタもけっこう多い。
 主人公は売れない俳優のセドリック。夢は有名になって父を喜ばせること。が、今までの大きな仕事といえばコンドームのTVコマーシャルに出ただけ。そのコマーシャルを製作した女性プロデューサーが彼に映画主演の話を持ってくる。
 黒いレザースーツの謎のヒーローが白塗りの悪人ピエロと戦うというもの。バットマンですか。いいえ、バッドマンよ。が、ほとんどバットマン
 運よく主演に決まり、悪友たちの祝福を受けながら、セドリックは体を鍛え、仕事に臨む。ピエロ役の元大物スターに見下されながらも撮影は順調に進むが、休憩中に妹から電話が入る。警察署長をしている父が事故で入院したとの知らせ。セドリックはとっさに衣装のままスタジオのバッドモービルに飛び乗り、病院を目指すが、スピードを出しすぎて銀行のATMに激突。
 事故で記憶を失ったセドリックは着ている衣装や車の中にある小道具から、自分がヒーローであると思い込み、映画の筋書きで悪の組織に監禁されている設定の妻と息子を救うためピエロの屋敷を目指す。
 兵士あがりの妹がセドリックの駄目な悪友ふたりを引き連れて、兄の行方を追う。
 これに警察署長の父や本物の凶悪強盗やハリウッドスターも絡み、ドタバタから下ネタ、本格的なアクションもあって、約束通りのハッピーエンド。
 セドリックの父親の警察署長を演じているのが、かつての二枚目、ジャン=ユーグ・アングラードだった。

 

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー/Super-heros malgre lui
2021 フランス・ベルギー/公開2022
監督:フィリップ・ラショー
出演:ジュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、エロディ・フォンタン、アリス・デュフォア、ジャン=ユーグ・アングラード、アムール・ワケド