シネコラム

第456回 愛しのローズマリー

第456回 愛しのローズマリー

平成十四年六月(2002)
日比谷 日比谷映画

 

 ともかく、美女が次々とたくさん出てくる映画である。
 外見の美しい女性と心の美しい女性と、どちらがいいだろう。ジャック・ブラックふんするハル・ラーソンは女性の外見にしか興味がなく、モデル並みの美女ばかりを追いかけているが、全然相手にされない。美男には程遠く、言動は軽薄そのもの。もてないのは望みが高すぎるからだと同僚から忠告される。
 ある日、ひょんなことから自己啓発家のアンソニー・ロビンズと知り合い、女性の美しさは外見ではなく、内面の美しさを見ることが大切だとの暗示を受ける。その日から、彼には心の美しい女性が外見には関係なく、そのまま美女に見えてしまうのだ。
 偶然、道で見かけた女性があまりに美しくて、一目惚れして声をかけ、仲良くなるのだが、親友のマウリシオは驚く。ハルには絶世の美女に見えているローズマリー、現実には百数十キロ以上の巨漢で、レストランで椅子が壊れるほど。
 このローズマリーがハルの勤める会社の社長令嬢だとわかり、ハルは目をかけられて昇進する。同僚は出世のために巨漢を口説いたハルを軽蔑するが、なにを言われようと彼にはローズマリーが美女にしか見えないので、幸せいっぱいなのだ。
 やがてマウリシオが自己啓発のいきさつを知り、アンソニーから暗示を解くキーワードを聞き出してハルに電話する。とたんに現実しか見えなくなり、ハルは目の前の巨漢がローズマリーだと気がつかず、破局を迎える。彼女はハルの心変わりに傷つき、海外での救援活動に出ることになるが、それを知ったハルは今さらながら、外見に関係なく彼女を愛していたことに気づくのだった。
 ハルの目に映るローズマリーを演じるのが細身で長身美女のグウィネス・パルトロー。暗示から覚めたハルが目にする体重百三十キロを超えるローズマリーもパルトロー本人が特殊メイクによって変身している。

 

愛しのローズマリー/Shallow Hal
2001 アメリカ/公開2002
監督:ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー
出演:ジャック・ブラックグウィネス・パルトロー、ジェイソン・アレクサンダー、スーザン・ウォード、レネ・カービー、ジョー・ヴィテレリ、アンソニー・ロビンズ、ジル・クリスティーン・フィッツジェラルドブルース・マッギル