シネコラム

第448回 レッド・ドラゴン

第448回 レッド・ドラゴン

 

平成十五年三月(2003)

所沢 シネセゾン所沢

 

羊たちの沈黙』がヒットし、続編の『ハンニバル』が作られ、そして『レッド・ドラゴン』である。これは続編というより『羊たちの沈黙』以前の物語となっている。

 FBI捜査官グレアムは犯罪心理学レクター博士に猟奇殺人事件の助言を求めるが、レクターこそが犯人だと気づき、その瞬間に刺され、自分も相手を拳銃で撃つ。グレアムもレクターも共に重症を負うが、回復したレクターは異常犯罪者を収監する精神病院へ。グレアムは辞職し、妻子と海辺でのんびり暮らしている。

 そこへかつての同僚クロフォードが訪ね、一家皆殺しの猟奇殺人についての助言を求める。五人家族の夫と子供たちが殺され、その死体の前で妻が強姦され惨殺される事件が二件、満月の夜に発生した。

 クロフォードに懇願されたグレアムは再び捜査に加わる。次の満月までに真相を究明しようとし、精神病院に隔離されているレクターに助言を求めるため再会する。レクターは自分を撃って逮捕したグレアムにどんな助言を与えるのか。

 大ヒットした二作に続いて、ハンニバル・レクターアンソニー・ホプキンスが演じ、グレアム捜査官にエドワード・ノートン、元同僚クロフォードにハーヴェイ・カイテル、無残に死ぬ記者がフィリップ・シーモア・ホフマン。そして猟奇殺人鬼にレイフ・ファインズ。名優たちの演技合戦が見ものである。

 実は『羊たちの沈黙』以前に『レッド・ドラゴン』は『刑事グラハム』というタイトルで映画化されていたが、たいして話題にならなかった。レクターがブライアン・コックス、犯人がトム・ヌーナン。同じ原作が予算や配役でこうも違うという見本として、両方見比べるのも面白いかもしれない。ブライアン・コックスもトム・ヌーナンも私は決して嫌いではないが、グラハム役のウィリアム・L・ピーターゼンが今ひとつだった。

レッド・ドラゴン』のラスト、精神病院のレクターを女性のFBI実習生が訪ねてくる。

 

レッド・ドラゴン/Red Dragon

2002 アメリカ/公開20

監督:ブレット・ラトナー

出演:アンソニー・ホプキンスエドワード・ノートンレイフ・ファインズハーヴェイ・カイテルエミリー・ワトソン、メアリ・ルイーズ・パーカー、フィリップ・シーモア・ホフマン、アンソニー・ヒールド