第439回 ミラクル・ニール!
平成二十八年一月(2016)
京橋 テアトル試写室
学生時代、モンティ・パイソンが大好きで、毎週欠かさずTVで観ていた。イギリス出身の五人の秀才、グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、エリック・アイドル、マイケル・ペリン、テリー・ジョーンズ、それにアメリカ出身のテリー・ギリアム。
この中のテリー・ジョーンズは中背でずんぐり、番組では全裸のオルガン奏者や目つきの悪い変なおばさんの役が多かったが、実は童話作家でもあり、晩年は歴史研究家でもあった。テリー・ジョーンズの最後の監督作品が『ミラクル・ニール!』である。
遠い宇宙の果てで、高度な知性と文明を持つ宇宙生命体たちが集まり、会議を開いている。彼らは宇宙の秩序を守るため、無能な生物が支配する星を次々と消滅させてきた。地球から届いた幼稚なメッセージを嘲笑い、消滅を検討。が、その前にひとつチャンスを与える。地球人から無作為にひとり選んで、なんでも叶えられる万能の力を与え、結果を見ることにする。
中学教師のニールはまったくやる気がなく、生徒たちからも馬鹿にされている。ある日、同僚と会話していて、あんなクラスなんかなくなればいいと言ったとたん、教室が爆破されて消滅する。右手を挙げて願い事を口にすると、それが叶うことがわかったニールは飼い犬のデニスに会話能力と知性を与える。隣に住む美人のキャサリンをなんとかしようとする。せっかく万能の力を授かっても思いつくのはつまらないことばかり。宇宙の果ての評議会では知的生命体たちが大笑い。
隣のキャサリンもニールを憎からず思っているが、彼女にまとわりつくストーカーがニールの万能力を知り、これを悪用しようとして大騒動。
宇宙生命体たちの声はかつてのモンティ・パイソンのメンバー、早くに亡くなったグレアム・チャップリンを除く仲間たちが演じた。ロビン・ウィリアムズは飼い犬デニスの声を担当したが、残念ながらこれが遺作となった。
ミラクル・ニール! /Absolutely Anything
2015 イギリス/公開2016
監督:テリー・ジョーンズ
出演:サイモン・ペッグ、ケイト・ベッキンセール、サンジーヴ・バスカー、ロブ・リグル、エディー・イザード、ジョアンナ・ラムリー、テリー・ジョーンズ、ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、マイケル・ペリン、エリック・アイドル、ロビン・ウィリアムズ