シネコラム

第434回 ダイナソー

第434回 ダイナソー

平成十三年一月(2001)
新宿歌舞伎町 新宿グランドオデヲン

 

 これは一種の西部劇である。新天地を求めて移動するキャラバン。それに加わる新参の若者。横暴なリーダーとの対立。過酷な旅に力尽きて倒れる者、遅れる老人、負傷して置き去りにされるリーダーの手下。新参の若者はリーダーと対立して弱い者たちを助け、別行動をとる。強敵に襲われながらも、リーダーのグループより先に新天地を発見し、リーダーを追う。リーダーは若者の言葉に耳を貸さず、間違った道を辿り自滅する。グループは若者に従い、新天地に辿り着く。
 ただし、フロンティア時代の西部ではなく、舞台は六千五百万年前の地球。地上の主役は恐竜だった。
 ひとつの卵が偶然、隣のキツネザルたちの島に運ばれ、恐竜イグアノドンの赤ん坊が誕生する。キツネザルのプリオが赤ん坊にアラダーと名付け息子として育てる。異種に育てられる英雄。これは『ジャングルブック』や『ターザン』と同様のストーリーだ。
 アラダーが成長した頃、地球に巨大隕石群が落下する。この天災による環境の変化が恐竜絶滅の原因と言われている。キツネザルの島は滅び、生き残った一家だけが養子のアラダーとともに大陸に渡る。そこも累々たる死の世界となっていた。アラダーはキツネザルの家族とともに新天地をめざすキャラバンに加わり、西部劇風の展開となる。
 大平原の恐竜王国の生態、映像はリアルだが、恐竜やキツネザルたちの会話は従来のディズニーアニメの動物キャラクターと同じ。
 子供向けのわかりやすいストーリーで恐竜の世界を描いたのは見事である。子供向けゆえに隕石による滅亡シーンや肉食恐竜が草食恐竜たちを襲う場面は具体的には描かず、甘い内容になってはいるが。
 新天地に辿り着いた恐竜たちや、人間の祖先となるキツネザルたち、彼らにもやがて終末は訪れるのだ。

 

ダイナソー/Dinosaur
2000 アメリカ/公開2000
監督: エリック・レイトン、ラルフ・ゾンダグ
アニメーション

 

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