第433回 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3
平成二年七月(1990)
渋谷 渋谷東急2
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は第一作がヒットし、その後、PART2とPART3が作られたが、第一作が一番面白く、二〇一五年の未来へ行く二作目がぱっとしなかったのは、ジョージ・マクフライ役のクリスピン・グローバーが登場せず、ブラウン博士の活躍場面も少なかったからだと私は思っている。
そして、第三作。ファーストシーンは第一作の終わり、マーティを一九八五年に送り返してほっとしている一九五五年のブラウン博士の前に、いきなりマーティが現れるのだ。そして十九世紀から届いたブラウン博士の手紙を見せる。三十年後の自分が過去に飛ばされたと知って驚くブラウン博士。しかもたまたま見つけた墓石にエメット・ブラウンの名前が刻まれており、一八八五年にならず者のマッドドッグ・タネンに背中から撃ち殺されていることがわかる。マーティはブラウン博士を助けるため、過去へとタイムスリップする。
一八八五年、デロリアンのタイムマシンは馬に乗ったインディアンの大群に追われることになる。そこはまだ発展途上の荒野で、おなじみの西部劇の場面が続く。
町の鍛冶屋となっているブラウン博士と再会したマーティは、マッドドッグ・タネンに注意するよう忠告し、一九八五年に戻る手段を相談する。
ガンマンの決闘、荒野の馬車、カーニバルのフォークダンス、暴走機関車などなど西部劇の面白さが満載で、名前を聞かれたマーティはとっさにクリント・イーストウッドと名乗る。
ブラウン博士のクリストファー・ロイドが主役級の大活躍。ついでながら、女教師クララのメアリー・スティーンバージェンは『タイム・アフター・タイム』では過去から来たH・G・ウェルズの恋人となったが、今回は未来から来たエメット・ブラウンと恋をする。さらについでながら、酒場の主人役のマット・クラークは西部劇でよく見かける脇役で、私の大好きな『男の出発』にもカウボーイ役で出ている。
バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3/Back to the Future Part III
1990 アメリカ/公開1990
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、トーマス・F・ウィルソン、メアリー・スティーンバージェン、リー・トンプソン、エリザベス・シュー、ジェームズ・トールカン、マット・クラーク