シネコラム

第432回 デッドマン

第432回 デッドマン

平成八年五月(1996)
高田馬場 高田馬場東映

 

 ジョニー・デップ主演、ジム・ジャームッシュ監督の異色西部劇。
 東部の都会から西部にやって来た会計士のウィリアム・ブレイク。来るのが遅すぎたと頼みの綱の会社に雇ってもらえず、娼婦のセルと知り合ってその部屋に泊まる。
 そこへいきなりセルの情夫のチャーリーがやって来て、未練がましく泣き言を言ったあげくにセルを撃ち殺す。ブレイクも撃たれるが、とっさに撃ち返してチャーリーを殺してしまう。
 チャーリーの父親で町の有力者ディキンソンはブレイクに賞金をかけ、三人の殺し屋を雇って追わせる。
 チャーリーに撃たれて体内に弾の残るブレイクは、森の中で教養ある孤独なインディアンと出会う。インディアンは彼を同姓同名の詩人ウィリアム・ブレイクだと思い込み、世話を焼く。
 殺し屋のコールは同行の仲間ふたりを殺し、その肉を食ってブレイクを追い続ける。
 ブレイクは東部のひ弱な若者から、いつしか凶悪な無法者の面構えとなっている。
 物語はゆるやかに進み、最後は夢のような死を迎える。
 凝ったキャスティングで、ジョン・ハートガブリエル・バーンなど、私の好きな脇役俳優がたくさん出ている。人食いの殺し屋のランス・ヘンリクセン、いかれたマイケル・ウィンコット、カメレオン俳優のビリー・ボブ・ソーントン、アルフレッド・モリーナ。なんといっても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』以来ごぶさただったクリスピン・グローバーが見られたのがうれしかった。
 それはそうと、高田馬場には高田馬場東映東映パラス、パール座、早稲田松竹があり、東映東映パラスは一九九九年に閉館した。今のマクドナルドのあるビルがそれだった。

 

デッドマン/Dead Man
1995 アメリカ/公開1995
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ジョニー・デップ、ゲイリー・ファーマー、ジョン・ハートロバート・ミッチャムガブリエル・バーン、ミリ・アヴィタル、ランス・ヘンリクセンマイケル・ウィンコットユージン・バードイギー・ポップビリー・ボブ・ソーントンジャレッド・ハリス、ミッチェル・スラッシュ、クリスピン・グローバー、アルフレッド・モリー

 

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