シネコラム

第424回 Shall We Dance?(2004)

第424回 Shall We Dance?(2004)

平成十七年六月(2005)
新宿 新宿スカラ2

 

 リチャード・ギアはよほどシカゴの弁護士に縁があるのだろうか。『真実の行方』『シカゴ』に続いてもう一本、やはりシカゴの弁護士役があるのだ。
 ただし、やり手の悪徳弁護士ではなく、遺言作成専門の雇われ弁護士。真面目で温厚な小市民である。
 この弁護士が電車で帰宅途中、ある駅前のビルにあるダンス教室の窓に美女を見て、ふらっと電車を降り、そのまま教室に入門。ダンスを始めるという話。
 周防正行監督の『shall we ダンス?』のハリウッドリメイク版である。
 オリジナルの役所広司は普通の会社員だったが、この設定をシカゴの弁護士に変えたところに、『シカゴ』や『真実の行方』との因縁を感じるのは私だけか。
 日本版オリジナルも大好きだが、ハリウッド版はこれはこれでとても面白い。日本版とほとんど同じ展開ながら、完全にアメリカ映画になっており、全然違和感がないのだ。これはもともと周防監督のオリジナルがハリウッドのコメディのようにお洒落で洗練されているからだろう。
 哀愁漂う役所広司と違って、リチャード・ギアはかっこ良すぎて普通のサラリーマンには見えないので弁護士なのか。
 ジェニファー・ロペスはダンス教室の娘ではなくて、雇われている講師。オリジナルの草刈民代は清楚なイメージだが、ロペスはヒスパニックで肉食系である。
 スーザン・サランドン演じる妻はデパートの洋服売り場の管理職。ダンスマニアの同僚がスタンリー・トゥッチ、探偵がリチャード・ジェンキンズ。
 細かい点はいくつか違うが、大筋は同じ。かつて、日本人は外国の製品を器用に真似して新商品を開発するのが上手な国民だ、などと揶揄されたこともあったが、逆に日本映画が外国で評判になってリメイクされるのはうれしい限りである。

 

Shall We Dance?/Shall We Dance?
2004 アメリカ/公開2005
監督:ピーター・チェルソム
出演:リチャード・ギアジェニファー・ロペススーザン・サランドンスタンリー・トゥッチ、リチャード・ジェンキンズ