シネコラム

第334回 ヤング≒アダルト

第334回 ヤング≒アダルト

平成二十四年八月(2012)
飯田橋 ギンレイホール

 ヤングアダルトというのは、子供と大人の中間、ティーンエイジャー向きの小説。そのヤングアダルトを執筆している三十七歳の女性メイビス。
 かつては田舎町の学園の女王として輝いていたが、結婚し、都会へ出て、離婚し、今は小説家。彼女の書くヤングアダルトは大ヒット。ただし、作者名としては原案者の別の有名人がタイトルと並んで大きく表紙を飾り、ライターである彼女の名前は裏表紙に小さく出ているだけ。しかも売れ行きが悪くなり、シリーズ終了が決定。
 そんな時、田舎の元恋人からメールが届く。赤ん坊が生まれたので出産祝いのパーティを開くからぜひどうぞ。スポーツ万能で二枚目の彼は学園のヒーロー、メイビスとは相思相愛のカップルだったのだ。
 仕事はうまくいかず、恋人もなく、毎日酒に溺れるメイビス。本当は、私は彼と結ばれて幸福になる運命だった。彼は今では田舎でつまらない仕事に追われ、つまらない女と結婚し、つまらない人生を送っている。もう一度、彼と人生をやり直そう。彼をつまらない生活から救いだして。
 そう決意したメイビスは故郷を目指す。そして、彼に電話、たまたま用事があってこの町に来てるんだけど、久しぶりに逢わない?
 かつてのヒーローは、今では生活臭い田舎親父だが、それでもまだまだ二枚目の面影はある。もうひとり、酒場で出会ったかつての同級生、障害者のマットが彼女の意図を知り、忠告する。赤ちゃんが生まれて幸せに暮らしている男の家庭を壊そうなんてよくないよ。
 さて、彼女の目論見はうまく行くだろうか。
 この映画、シャーリーズ・セロン以外の女性出演者、美人はひとりも出てこない。化粧気なしの普通の女性たち。それこそスターを引き立てる演出か。
 邦題の≒(ニアイコール)はなくてもいいのでは。

ヤング≒アダルト/Young Adult
2011 アメリカ/公開2012
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:シャーリーズ・セロンパトリック・ウィルソンパットン・オズワルト、エリザベス・リーサー、コレット・ウォルフ

 

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