シネコラム

第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾

第327回 マカロニ・ウエスタン800発の銃弾

平成十八年四月(2006)
新橋 新橋文化

 一九六〇年代、イタリアで量産された西部劇マカロニウエスタン。その撮影の多くはスペインで行われた。アンダルシア地方のアルメリアでは、かつてハリウッド大作なども撮られていた。
 現在のアルメリア、映画産業は廃れ、撮影所は観光用のさびれたウエスタン村になっており、元スタントマンたちが実演ショーを行い、細々と食いつないでいる。
 幼い少年カルロスが、母に内緒でウエスタン村の祖父フリアンを訪ねてやって来る。フリアンは実演ショーのリーダーであり、かつてクリント・イーストウッドのスタントマンを演じたのが自慢である。
 カルロスの父親は撮影中に事故死した。そのため、カルロスの母ラウラはフリアンとウエスタン村を憎んでいる。ラウラは今では大手不動産会社の女社長であり、義父への復讐心から、ウエスタン村を買収して取り壊し、テーマパークの予定地にしようと計画する。
 吹きだまりのようなウエスタン村に暮らす男たちは、時代に取り残された西部劇のわびしい登場人物にそのまま重なる。
 立ち退きを迫られたスタントマンたちは、実弾を手に入れ、警官隊に反撃することに。
 現代のアンダルシアでまさに西部劇さながらの展開となる。

マカロニ・ウエスタン800発の銃弾/800 balas
2002 スペイン/公開2005
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演サンチョ・グラシア、アンヘル・デ・アンドレス・ロペス、カルメン・マウラ、ユウセビオ・ポンセラ、ルイス・カストロエンリケ・マルティネス、ルチアーノ・フェデリコ、マヌエル・タリャフェ