第318回 ボッカチオ‘70
平成十年五月(1998)
千石 三百人劇場
四人の監督によるセックスコメディのオムニバス。
第一話『レンツォとルチアーナ』庶民の男女が会社で仕事を続けるために結婚を隠すが、やがてばれて解雇。それでもたくましく生きていく。
第二話『アントニオ博士の誘惑』キリスト教の文学や絵画で有名な聖アントニウスの誘惑を下敷きにしたコメディ。禁欲的な生活を送っている学者のアントニオ博士が、広場の看板に描かれた美女の絵に誘惑されるというもので、アニタ・エクバーグふんする巨大な美女が迫ってくる。
第三話『仕事中』ヴィスコンティの貴族趣味。遊び人の伯爵が遊里に入り浸るので、夫人はとうとう自分が高級売春婦になろうとする。そこで伯爵は妻の魅力に目覚めるというもの。伯爵夫人役のロミー・シュナイダーが着ているのがシャネルのスーツ。
第四話『くじ引き』射的屋の娘がくじ引きの景品になり、男たちがくじを買うというデ・シーカの艶笑譚。くじを引き当てたのが冴えない寺男。ところが娘は別の男を好きになってしまい、景品になったことを後悔する。さて、ことの顛末は。ソフィア・ローレンがなんともセクシー。
日本初公開は一九六二年であるが、このとき第一話の『レンツォとルチアーナ』がカットされていた。私が最初に観たのはTVの深夜放送だったが、そのときも第一話『レンツォとルチアーナ』はなかった。完全版が劇場公開されたのは一九九八年のことである。
ボッカチオ‘70/Boccaccio ’70
1962 イタリア/公開1962(短縮版)、1998(完全版)
監督:マリオ・モニチェリ、フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:第一話マリサ・ソリナス、ジェルマーノ・ジリオーリ、第二話ペッピーノ・デ・フィリッポ、アニタ・エクバーグ、第三話ロミー・シュナイダー、トーマス・ミリアン、パオロ・ストッパ、第四話ソフィア・ローレン