シネコラム

第279回 シックスセンス

第279回 シックスセンス

平成十一年十一月(1999)
渋谷 渋東シネタワー

 いろんな映画をたくさん観て、すれっからしになってくると、意外な結末だといわれても、先が読めてしまうことが多いのだが、この映画にはだまされた。今ではこの最後のどんでん返し、知っている人は多いだろうが、やはりネタバレは禁物だと思う。
 児童心理学者マルコムが市長から表彰されたその夜、かつて救えなかった患者に襲われる。元患者はその場で自殺する。
 一年後、マルコムはその患者と似た少年コールに出会い、今度はちゃんと救おうとする。コールは両親の離婚で不安定になっている。が、実は見えるというのだ。死んだ人間が。そのことを誰にも話せず、母にも告げられずに苦しんでいる。嘘をついているのか、頭がおかしいのか、それとも本当に見えるのか。
 マルコムは事件以降、妻との仲が冷めて悩んでいる。コールの話を親身に聞き、彼の恐怖を取り除こうとする。かつて失敗した例の患者もまた、コールと同じ悩みを持っていたのだ。古いテープの記録を聞くと不思議な言葉が録音されている。
 コールに死者が見えるということは、死者が彼に救いを求めているのではないか。マルコムはコールに言う。死者の言葉に耳を傾けるようにと。
 現れた少女の亡霊はコールにあることを依頼する。彼は少女の葬儀の場へ行き、亡霊の言った通りのビデオテープを発見してそれを少女の父親に見せる。そこには少女の死の真相が録画されていた。
 コールの特殊な能力、それは悩める死者のためのカウンセリングだったのだ。
 妻と不仲のマルコムにコールは言う。彼女が眠っている間に話せばいい。きっと聞いてくれるはずだと。マルコムは家に帰る。そこに待っていた真実。
 この最後のドンデン返し、映画史上に残るだろう。

 

シックスセンス/The Sixth Sense
1999 アメリカ/公開1999
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ブルース・ウィリスハーレイ・ジョエル・オスメントトニ・コレットオリヴィア・ウィリアムズ