第262回 ギャラクシー・クエスト
平成十二年十月(2000)
九段下 九段会館
ティム・アレン主演作はそんなに観ていないのだが、一番好きなのがやはり『ギャラクシー・クエスト』だ。
かつて『ギャラクシー・クエスト』というTVの人気宇宙活劇のシリーズがあったという設定で、艦長役がジェイソン、ミスタースポックを思わせる副官のトカゲ頭宇宙人役が元シェイクスピア俳優のデーン、紅一点の少佐役がグエン、技術主任役がフレッド。内容はほぼ『スタートレック』で、シリーズは二十年以上も前に打ち切られ、今ではメンバーも五十代。番組のイメージが強すぎてなかなか他の役がつかず、熱狂的な「ギャラクシー」ファンの集いでサイン会を開いたり、スーパーマーケットの新装開店の余興に呼ばれたり。
売れない中年のTV俳優たちだが、それでも番組のファンは夢を抱いて、隊員のユニフォームを着たり、宇宙人の仮装をしたりして、大会に集まってくる。このあたりも現実のスタートレック同様。
サーミアン星人と名乗る仮装の宇宙人が、ファンの大会で艦長役ジェイソンに近づき、懇願する。凶悪な宇宙軍団の侵略を受けて困っています。どうか助けてください。
ジョークだと思ったジェイソン、気安く救援を承知すると、とたんに宇宙の彼方のサーミアン星へと空間移動。高度に文明の発達したサーミアンの住民は知能は高いが純朴で、ウソとかフィクションという概念がない。彼らは地球のTV電波を傍受して「ギャラクシー・クエスト」を本物の宇宙の英雄と思い込み、凶悪軍団の侵略から守ってもらおうと、地球にやって来たのだ。かくして、中年の売れないTV俳優たちが、宇宙の彼方で凶悪軍団と戦うはめに。
売れないTV俳優に扮しているのが、ティム・アレン、シガーニー・ウィーバー、アラン・リックマン、錚々たるスターというのもうれしい。
ギャラクシー・クエスト/Galaxy Quest
1999 アメリカ/公開2001
監督:ディーン・パリソット
出演:ティム・アレン、シガーニー・ウィーバー、アラン・リックマン、トニー・シャローブ、サム・ロックウェル