シネコラム

第239回 ショーン・オブ・ザ・デッド

第239回 ショーン・オブ・ザ・デッド

令和元年九月(2019)
高円寺 ビアエンジン

 ビールを飲みながら映画を観る。それも生のクラフトビールで英国コメディなら、最高である。
 高円寺にあるクラフトビール店ビアエンジンで上映会が行われた。一夜限りの催しで参加者はビール好き、映画好きの男女が約二十名、なにか秘密クラブめいた集まりに期待が高まる。
 暗い店内の仮設スクリーンに映しだされたのはゾンビ映画ショーン・オブ・ザ・デッド
 電器量販店に勤めている主人公ショーンは、毎日のように近所のパブで同居の友人エドとビールを飲んでいる。エドがまたとんでもない男で、無職でTVゲームおたく、趣味が臭いオナラとオランウータンの物真似。
 恋人リズの誕生日にレストランの予約を忘れて愛想をつかされたショーンだが、いつの間にか町中にゾンビがうようよ。ショーンはリズを彼女の家から救い出し、友人たちとともにパブを目指すが……。
 主演がサイモン・ペッグ、相棒役がニック・フロスト、監督がエドガー・ライト。この組み合わせはその後、『ホットファズ』と『ワールズエンド』につながり、三部作と言われる。が、最初の『ショーン・オブ・ザ・デッド』は英国でヒットしながら、長らく日本では劇場公開されなかった。当時は売れそうにない作品は映画館で上映されずにDVD発売だけで終わる運命だった。それが製作から十五年ぶりに、ようやく映画館で日の目を見たのだ。映画業界にはこの映画のファンが多く、私の大好きなゾンビミュージカルの『アナと世界の終わり』など、随所に『ショーン・オブ・ザ・デッド』の影響を受けていると思われる。

ショーン・オブ・ザ・デッド/Shaun of the Dead
2004 イギリス・フランス/公開2019
監督:エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ、ケイト・アシュフィールド、ニック・フロスト、ルーシー・デイビス、ディラン・モーラン、ビル・ナイ、ペネロープ・ウィルトン、ジェシカ・スティーブンソン

 

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