シネコラム

第132回 バック・トゥ・ザ・フューチャー

第132回 バック・トゥ・ザ・フューチャー

昭和六十年十二月(1985)
大阪 梅田 三番街シネマ3

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー』は私のベスト映画の中の一本で、公開当時、大阪に帰省中の大晦日に観て、あまりの面白さに、新年に東京に戻ってニュー東宝シネマ1でまた観た。その後、二番館でも何度か観て、TVで放映されたときは、家で幼い子供らといっしょに観ている。
 一九八五年、高校生のマーティは音楽好きで、ガールフレンドがいて、ちょっと冴えない中年の両親がいる。そして親友は年の離れた老発明家のブラウン博士。
 ブラウン博士はタイムマシンの実験を町の広場で行うが、燃料のプルトニウムの代金を払わなかったためテロリストに射殺されてしまう。デロリアン型タイムマシンに飛び乗って逃げるマーティ、時間移動装置が作動してあっという間に三十年前の過去に。一九五五年の町。若き日のブラウン博士を捜し当てたマーティは、あなたのタイムマシンで未来から来ました、助けてくださいと告げる。
 マーティが偶然、若い頃の両親と出逢ってしまったために、両親が結ばれるきっかけがなくなる。両親が結婚しなければ、マーティは生まれない。そこで、マーティはふたりをなんとか結ばせようと努力するが、内気な父は気が乗らず、母は未来の息子にぞっこんとなる。ブラウン博士の助けで、マーティは無事に未来に戻れるのか。
 これだけのストーリーを様々なギャグで盛り上げ、伏線が張り巡らされ、三十年前と現在とのギャップや歴史的な事実が笑いを生む。
 そしてやっぱりアメリカ映画がすごいと思えるのが、一九五〇年代の完璧な再現。町並はもとより、そこに歩いている人々の服装や髪型、走る自動車、様々な風俗、これらがきちんと絵になっていないと、映画はウソになる。どこかの国の映画やTVドラマには、五〇年代なのに長髪の若い男がぞろぞろで、ああ、見ちゃいられない。
バック・トゥ・ザ・フューチャー2』では、マーティはさらに三十年後の未来へ飛ぶのだが、その二〇一五年はもう過ぎてしまった。

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー/Back to the Future
1985 アメリカ/公開1985
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドリー・トンプソン、クリスピン・グローバー、トーマス・F・ウィルソン、クローディア・ウェルズ