第７６回 チャイニーズ・オデッセイ
平成九年七月（１９９７）
大井 大井武蔵野館
とはいえ、西遊記はやはり中国が本場。『チャイニーズ・オデッセイ』はパロディだが、さすがに中国人が作っているので、原作の味は残している。
斉天大聖孫悟空が観音菩薩に向かって悪態をついている。三蔵法師があまりにおしゃべりなので、うんざりして、牛魔王と手を結び、三蔵の肉を譲ろうとしたというのだ。尊い仏弟子の生まれ変わりである三蔵の肉は、それを食った妖怪を最強にする力がある。そのため妖怪どもが三蔵を狙っているのだ。悟空は菩薩から罰を受け、五百年後に人間として生まれ変わる。
それが山賊の親分だが、そこへ新たに三蔵も生まれ変わり、肉を奪おうと女妖怪が二人やってくる。蜘蛛の精と白骨の妖女。
彼らが次々と馬鹿馬鹿しいギャグやら特殊撮影の妖術合戦を見せてくれるので、飽きなかった。
共に天竺へ行ってくれるのはおまえだけだと、いきなり悟空に向かって「オンリーユー」を歌い出す中年男の三蔵法師には呆れてしまったが、私はこんな漫画のような話が好きだ。執拗な繰り返しのギャグも嫌いではない。
妖怪に恋した山賊の親分は魔力を持つ月光宝盒の力で五百年前に戻ってしまい、そこで孫悟空となって、西遊記の物語を繰り返す。
喜劇王チャウ・シンチーの孫悟空が実に適役で、最高であった。
チャウ・シンチーはその後、西遊記ものを自ら監督しているが、彼が悟空を演じないので私は物足りない。
チャイニーズ・オデッセイPart1 月光の恋／西遊記 第壹佰零壹回月光寶盒
チャイニーズ・オデッセイPart2 永遠の恋／西遊記 大結局之仙履奇縁
１９９５ 香港／公開１９９６、１９９７
監督：ジェフ・ラウ
出演：チャウ・シンチー、カレン・モク、ン・マンタ、ロー・ガーイン