第65回 王子と乞食
平成二十年七月(2008)
東京 某公民館
ヘンリー八世の治世。皇太子のエドワードが乞食の少年トムと瓜二つで、ひょんなことから入れ替わり、王子は宮殿の外へたたき出され、乞食のトムは王子の格好をさせられて宮殿から出られないというマーク・トウェインの名作の映画化。
トムの父親は稼ぎが少ないといってエドワード王子を殴りつけ、行きずりの旅の剣士マイルズ・ヘンドンがこれを助ける。エドワードは自分が皇太子だと主張しても、汚い格好を見て、当然ながら、だれも相手にせず、あざ笑うだけ。
いっぽう王宮ではトムも自分が王子ではないと言い張るが、もちろん、王をはじめ、貴族たちはだれも信じない。
映画はほぼ原作に忠実ながら、映画的な洒落っ気で、いろいろと遊びがある。
ヘンリー八世が死去し、宮廷では偽者のトムが即位寸前。マイルズは自分を新王と言い張る頭のおかしな少年を哀れに思い、長年留守にしていた領地に連れ帰るが、弟のヒューが今は新領主となり、兄の許婚と結婚している。ヒューは現れたマイルズを兄の名を騙る偽者として、さらしものにし、とめに入ったエドワードを鞭で打とうとする。エドワードの身代わりとなって鞭打たれるマイルズ。偽物扱いされ傷ついたマイルズにエドワードは語りかける。正しいことを言ってもだれも信じてくれない。私も同じだ。このとき、マイルズははじめて少年が本物の王であると確信し、ひざまずくのだ。マイルズの肩に剣を置き、騎士の叙勲を行うエドワード。
エドワードとトムの二役を子役スターのマーク・レスターが演じ、マイルズのオリヴァー・リード、ヘンリー八世のチャールトン・ヘストン、マイルズの許婚のラクエル・ウェルチ、トムの父親アーネスト・ボーグナイン、老獪な貴族レックス・ハリソン、盗賊の首領ジョージ・C・スコットなど。実に豪華な配役の歴史絵巻だった。
史実では、王になったエドワード六世は早死にし、その後、メアリ、エリザベスと血で血を争う女王の時代が続く。
王子と乞食/The Prince & The Pauper
1977 アメリカ
監督:リチャード・フライシャー
出演:マーク・レスター、オリヴァー・リード、ラクエル・ウェルチ、チャールトン・ヘストン、アーネスト・ボーグナイン、レックス・ハリソン、ジョージ・C・スコット