シネコラム

第54回 Gガール破壊的な彼女

飯島一次の『映画に溺れて』

第54回 Gガール破壊的な彼女

平成十九年七月(2007)
新橋 新橋文化

 

 一九八〇年代、クリストファー・リーヴの『スーパーマン』がヒットすると、その番外編『スーパーガール』が作られた。スーパーマンの女性版で、主人公はスーパーマンの従妹という設定。
『Gガール』は言ってみれば『スーパーガール』のセックスコメディ版である。
 スーパーパワーで空を飛び、災害や犯罪があれば、どこからともなく現れて、人々を助けてくれる長身で金髪の謎の美女。
 平凡なサラリーマンのマットは、ある日、地下鉄で偶然に知り合った女性をデートに誘う。画廊に勤める地味なタイプ。
 デートの途中で、近くで大火災が発生し、突如彼女が席をはずす。災害現場にGガールが出現、未然に火災を防ぐ。
 実は彼のデートの相手こそ、世間で評判のGガールの世を忍ぶ仮の姿だったのだ。
 ふたりは意気投合し恋人同士となるが、彼女にGガールだと打ち明けられて、彼はびっくり。美人で素敵な彼女がさらに有名なGガールと知り、うれしくなる。
 だが、スーパーパワーで世界を守っているGガールも女には違いなく、嫉妬深く、独占欲が強く、セックスもまた強烈過ぎて、最初は喜んでいた彼もだんだんと彼女が疎ましくなる。思い悩んで別れ話を切り出すと、Gガールは怒り狂い、料理をしている包丁をねじまげ、冷蔵庫に頭をぶつけて壊し、天井を突き破って飛んでいく。
 彼に新しい恋人ができると、スーパーパワーを使って、徹底的に嫌がらせをする。部屋に生きた人食い鮫を投げ込んだり。
 が、結局のところ、ハッピーエンドになるから、うれしい。
 実を言うと、ユマ・サーマンは好きな女優なのだ。『好きと言えなくて』から『キルビル』まで、コメディでもアクションでもなんでも似合う長身の美女。Gガールはまさに真骨頂を発揮している。

Gガール破壊的な彼女/My Super Ex-Girlfriend
2006 アメリカ/公開2007
監督:アイヴァン・ライトマン
出演:ユマ・サーマンルーク・ウィルソンアンナ・ファリス

 

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