シネコラム

飯島一次の『映画に溺れて』

飯島一次の『映画に溺れて』

飯島一次の『映画に溺れて』

 

 好きな映画のことだけを書こう。それも、映画館で観たものを中心に。

 幼い頃、家にはまだTVがなく、映画好きの祖母がしょっちゅう映画館に連れて行ってくれたのだ。駅前の古い劇場で東映の時代劇を観るか、電車に乗って都会まで行き、ディズニーアニメを観るか。父は東宝が好きで、怪獣映画やクレージーキャッツをいっしょに観た。祖母と最後に観たのは中学一年のときの『大魔神』、父と最後に行ったのが中学二年のときの『続・夕陽のガンマン』、初めて友人とだけで映画館に入ったのが中学三年のときの『猿の惑星』。

 高校生になると、ひとりで観に行くようになる。TVが普及しても、ビデオやDVDが出てきても、やっぱり映画は映画館。結婚したばかりの頃には妻と映画館に通った。子供が生まれると家族みんなで観に行った。シネコン以前は映画館にも個性があり、情報誌「ぴあ」を片手に電車を乗り継いだことや、途中で入った店で何を食べたかまで憶えている。いつどこでだれと観たかも映画の記憶のひとつとして大切なのだ。ここでは、観た年月と場所もわかる範囲で記すことにする。

 近頃では、先月観た映画がほとんど記憶になかったり、二、三年前の映画はメモを見ても思い出せないものもある。だけど、まあ、いい歳をして、相変わらず娯楽作品が大好きだ。ことに奇想天外、荒唐無稽、コメディ、SF、ファンタジー、アクション、ミュージカル、そして時代劇。

 この先、何本観ることができるか。いつまでも映画館の客席に座り続けたいものである。

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