その日、なにが起こったか? 今日の歴史的な出来事

10月25日
今日の歴史的事件
市河米庵、誕生

 今日、10月25日は――




市河米庵、誕生

 江戸時代後期の書家であり、儒学者でもあった市河米庵が生まれた日です。
 安永8年(1779年)9月6日のことでした。

 江戸京橋で、儒学者である市河寛斎の長子として生まれた米庵は、幼い頃から父や林述斎、柴野栗山に朱子学や書、詩文を学びました。

 最初は持明院流の書を習いましたが、中国宋代の唐様書道米芾(べいふつ)や顔真卿(がんしんけい)に親しみ、25歳の時に長崎で明と清の書に影響を受け、来舶清人の胡兆新に師事し、格調の高さに挑みました。

 父が亡くなると跡を継ぎ、加賀藩前田家に仕えたことで名声を得ました。
 なんと、米庵が開いた書塾小山林堂の弟子は大名や町人、僧侶ら5,000人にも及んだそうです。

 のち、隷書と楷書に長じ、唐様に感化された米庵流の書を確立。
 巻菱湖(まきりょうこ)・貫名海屋(ぬきなかいおく。菘翁)とともに、[幕末三筆]と謳われた米庵は、安政5年(1858年)7月18日、80歳で亡くなりました。

 詩文にも才能を発揮し、画跡・文具・金石の蒐集家としても知られ、主な著作として『米家書訣』『米庵墨談』『清三家書論』『略可法』『墨場必携』を、作品として『朶雲帖(だうんじょう)』『試毫帖』『皇国州名歌』『三体千字文』を遺しています。

 弟に画家の鏑木雲潭が、孫に英語学者の市河三喜がいます。


   


[平成30年(2018)10月25日]掲載