シネコラム

第553回 ダーティハリー2

飯島一次の『映画に溺れて』

第553回 ダーティハリー

平成二年三月(1990)
池袋 文芸坐

 

 クリント・イーストウッドがサンフランシスコの凄腕暴力刑事ハリー・キャラハンを演じるダーティハリーは人気があり、シリーズ化された。
 第二作『ダーティハリー2』の冒頭ではギャングのボスの裁判場面がTV放送されている。殺人、脅迫、横領、汚職、あらゆる凶悪事件に関わりながら、証人が死亡し、悪徳弁護士の力で証拠不十分の無罪となるボスがTVでうれしそうな場面が写る。それを苦々しい顔で見ている初老の男。部屋には警官の制服が掛かっている。
 裁判所を意気揚々と出てくるボスと弁護士。取り巻くマスコミ記者たちを追い払う用心棒の子分。
 マスコミを避け、子分の運転する車に乗り込むボスと弁護士。道路を走る。それを密かに追う白バイ警官。車に追いつき、交通違反で路上に停止させる。
 警官を見下す弁護士。俺たちを停めたりしたら、出世はできないぞ。とでも言いたげである。突然、白バイ警官は銃を取り出し子分、弁護士、ボスを射殺する。
 その後、官憲の力の及ばない犯罪組織のトップたちが次々と殺される。
 警察幹部から暴力刑事として現場から遠ざけられていたハリー・キャラハンが上司から現場復帰を命じられ、悪人抹殺の犯人を捜査するよう命じられる。
 ハリーは警察内の射撃大会でいつも優秀な成績だったが、今回の大会では銃の腕の優れた若手白バイ警官たちと知り合う。
 そして、彼らこそが、悪人狩りの警官グループだと目星をつける。
 今回もまた、ハリーの相棒の黒人警官が殉職する。
 ハリーは悪人狩り警官のリーダーを推定し、逆に追い詰められるが反撃に出る。
 この映画が公開された一九七〇年代、日本ではTV時代劇『必殺』シリーズに人気があり、白バイ警官の悪人狩りは『必殺』に通じていたように思う。

 

ダーティハリー2/Magnum Force
1973 アメリカ/公開1974
監督:テッド・ポスト
出演:クリント・イーストウッドハル・ホルブルック、フェルトン・ペリー、デヴィッド・ソウル、ロバート・ユーリック、キップ・ニーヴェン、ティム・マシスン、ミッチェル・ライアン、クリスティーン・ホワイト

 

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