シネコラム

第499回 ミッション・インポッシブル

第499回 ミッション・インポッシブル

平成八年九月(1996)
渋谷 渋東シネタワー2

 

 一九六〇年代の東西冷戦時代、TVドラマ『スパイ大作戦』の人気は高かった。
 チームのリーダー、ジム・フェルプスが毎回「おはよう、フェルプス君」ではじまる指令を受ける。そして「君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しない」の言葉とともに、テープは証拠を残さず自動的に消滅する。マッチが擦られ、導火線に引火する映像とともにわくわくする主題曲が流れる。
 フェルプスがピーター・グレイブス、変装の名手ローランがマーティン・ランドー、美女シナモンがランドー夫人だったバーバラ・ベイン、技術者バーニーがグレッグ・モリス、力持ちウィリーがピーター・ルーパス
 毎回、びっくりするような作戦で敵を欺き、出し抜き、被害を与える。敵はたいてい東側の共産主義国家。あるいは南米や中東の独裁政権だった。
 冷戦が終わった一九九〇年代、『ミッション・インポッシブル』のタイトルで映画化、主演はトム・クルーズ、監督はブライアン・デ・パルマである。
 ジョン・ヴォイトふんするジム・フェルプスが指令を受ける。各所に潜入させているCIAの工作員のリストがプラハで敵の手に渡った。相手を突き止め捕らえるのが今回の任務である。フェルプスのもと、プラハに集結したチームが作戦を練り、敵に迫る。
 ところが作戦が失敗し、味方が次々と死んで行く。エレベーターに仕掛けたコンピューターの制御が利かずに串刺しとなったり、何者かに刺されたり、待機中の車で爆死したり、こちらの動きが敵に読まれていたのだ。
 実は今回の作戦は内部に潜入する二重スパイをあぶりだすためのおとり捜査であることがわかり、ひとり生き残った変装の名手イーサン・ハントが当局から疑われる。新たな仲間を集め、イーサンはCIAの追跡をかわして、真犯人に迫る。
 情報屋の女ボスを演じたヴァネッサ・レッドグレイヴの貫禄たるや、すごい。

 

ミッション・インポッシブル/Mission: Impossible
1996 アメリカ/公開1996
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:トム・クルーズジョン・ヴォイトエマニュエル・ベアールエミリオ・エステベスクリスティン・スコット・トーマス、インゲボルガ・ダクネイト、ジャン・レノヴィング・レイムスヴァネッサ・レッドグレイヴ、ヘンリー・ツェニー