赤佐汰那の書見台 赤佐汰那

「戦国や江戸って、どんな時代なの?」「昔の人たちが喋っていた言葉とか、食べていた料理とか、着ていた服とか、まったく想像できない⁉︎」「時代劇はどこまで本当なんだろう?」などなど。
 とどのつまり、「歴史時代小説をもっと愉しみたい!」、常々そう思っているあなたのために贈るのが、このコーナーです。
 歴史時代作家を目指す人たちも必読、デビューの近道となるかもしれませんよ!

第6話

宇宙創成から人類史を描く



『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史
 デヴィッド・クリスチャン/著
 渡辺政隆/訳

 今、メタ歴史が熱い。
 ……と、いきなり陶酔気味に書き出してしまったが、実際今、めちゃくちゃ熱い分野になりつつあるのがメタ歴史界隈なのである。
 日本語訳されて異例のヒットを飛ばした『サピエンス全史 』(ユヴァル・ノア・ハラリ/著、柴田裕之/訳、河出書房新社)は、人類の生物学的な特徴を縦軸に、各学問の成果を横断的に取り入れて人類史を再構成するというメタ歴史的なコンセプトを有した本である。従前の、文献資料にのみ依拠する文献史学や、遺物や痕跡に依拠する考古学といった学問とは異なった新たなアプローチで歴史を叙述しようと試みはより活発になりつつある。
 これをお読みの方の中に、自分には関係ないと思っている向きはないだろうか。
 歴史は我々人類の自画像である。歴史の叙述は、我々がどういう問題意識をもって歴史を捉えようとしているのかという問いに直結している。歴史の根源にあるのは、「現代は過去の文脈をどう背負った時代なのか」という現代人の問題意識に他ならない。
 さて、メタ歴史分野には、ビッグヒストリーという分野がある。
 宇宙創成から人類史を描き出そうというこのジャンルは、従来の人文学の他、物理・天文・化学・地学などの自然科学分野や社会科学も内包した、メタ歴史分野におけるもっとも大きなスケール感を有している研究の一群である。参考となる本がある。『ビッグヒストリー入門 科学の力で読み解く世界史』デヴィッド・クリスチャン/著、渡辺政隆/訳、WAVE出版)である。ビッグバンから近現代までをまさに宇宙的規模で描き出した本書は、限られた紙面の中でこの分野の持つ大風呂敷感を分かりやすく提示している。本書を読めばすぐに普通の世界史の概説書などとは随分と様相が異なることに気付くであろう。ビッグバンから人類が誕生してもなお、我々が普段想像する歴史とは全く違う歴史叙述がそこにはある。人類の営為によって地表に地質的な特徴が現れることを理由に、現代以降の地質年代を完新世から人新世と改めるべきではないかという議論が存在するというくだりなどは、我々人類種のこれからをも予見し、現代人にある種の警告を与える、まさにビッグヒストリーという学問分野だからこそ提示できる現代批評であろう。
 ビッグヒストリーは必ずしも学ばなくてもよい分野の歴史領域であるが、知っておくことであなたの『専門』を相対化し、深めることもできる。騙されたと思って、一度触れてみていただきたい。案外、新しい発見があるかもしれない。

出版社:WAVE出版
刊行日:2015年10月9日
価格:1,800円+税

amazon.co.jp セブンネットショッピング TSUTAYAオンラインショッピング 楽天ブックス


[平成29年(2017)10月29日]
赤佐 汰那

赤佐 汰那

あかさ たな

著者紹介ページへ