赤佐汰那の書見台 赤佐汰那

「戦国や江戸って、どんな時代なの?」「昔の人たちが喋っていた言葉とか、食べていた料理とか、着ていた服とか、まったく想像できない⁉︎」「時代劇はどこまで本当なんだろう?」などなど。
 とどのつまり、「歴史時代小説をもっと愉しみたい!」、常々そう思っているあなたのために贈るのが、このコーナーです。
 歴史時代作家を目指す人たちも必読、デビューの近道となるかもしれませんよ!

第22話

いつの時代もマナーが大事!
『戦国 戦の作法』
『大江戸 武士の作法』



戦国 戦の作法』
大江戸 武士の作法』
 小和田哲男/監修

 過去の日本には存在するのに、現代日本に存在しないものといえばなんだろう。
 色々な回答パターンがあるだろうが、わたしは筆頭に「武士」を挙げる。己の私領のために武装した地域の有力者と中央の武官貴族が出会い組織化して成立したとされる武士はやがて朝廷権力と並立する政治勢力となり、やがては日本全体を支配する武家政権を築くに至る。日本史を語るにおいて無視できない人々、階級である。
 実際、歴史・時代小説において、武士は欠くべからざる登場人物である。歴史小説の二大人気時代とされる戦国時代・幕末は武士が普通に跋扈しているし、時代小説の多くは武家政権の完成期である江戸時代が舞台だ。古代史ものを除き、「武士」の存在を無視することは非常に難しいのである。
 歴史・時代小説を書いたり読んだりする際には武士の知識が必要になるのである。
 というわけで本日ご紹介するのはこちらの二冊、『戦国 戦の作法』『大江戸 武士の作法』(ともに小和田哲男/監修、G.B.)である。どちらも武士の日々をリアルな形で紹介している。名前の通り、『戦国~』は戦国時代の武士たち、『大江戸~』は江戸時代の武士たちのリアルな生活ぶりを紹介している。
 今回二冊本を紹介したのは、本書を並べていただくと、同じ「武士」といえども時代が変わればまったく様相が異なるのだとご理解いただきたかったがゆえである。戦国時代の武士たちは(地域にもよるが)血で血を洗う抗争の中に生きていた「戦士」であった。だが、天下泰平の江戸時代となると、武士たちに求められたのは為政の能力であった。本書を並べ読んでいただけると、「戦士」から「役人」へと武士の役割が変遷したことをご理解いただけるだろう。
 そうした大きな変化とはほかに、戦国時代、江戸時代の武士たちの細かな作法や生活ぶりなどが分かるのも本書の魅力である。最近、このコラムで盛んに口にしている気もするが、小説を書いたり読んだりする際、実物のイメージを持っていることが大事なのだが、本書はイラストが豊富でビジュアル情報を飲み込むこともできる。いずれにしても、歴史・時代小説ファンであるなら一読の価値がある本である。もっとも、網羅的に様々な情報が掲載されているため個別情報は決して深くないが、本書を活用して武士の有様を大まかに理解したのち、自分の興味を深めていくという使い方もできる。古人が「万の事にも先達はあらまほしきことなり」と書いているが、本書はまさしく武士の世の「先達」として機能してくれる本なのである。

『戦国 戦の作法』
発売元:G.B.
刊行日:2018年6月16日
価格:1,500円+税
判型:単行本ソフトカバー

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『大江戸 武士の作法』
発売元:G.B.
刊行日:2019年1月25日
価格:1,600円+税
判型:単行本ソフトカバー

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[平成31年(2019)4月13日]

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