「戦国や江戸って、どんな時代なの?」「昔の人たちが喋っていた言葉とか、食べていた料理とか、着ていた服とか、まったく想像できない⁉︎」「時代劇はどこまで本当なんだろう?」などなど。
 とどのつまり、「歴史時代小説をもっと愉しみたい!」、常々そう思っているあなたのために贈るのが、このコーナーです。
 歴史時代作家を目指す人たちも必読、デビューの近道となるかもしれませんよ!

第17話

三次元的な臨場感で見られる
『日本の城』



ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 日本の城』
 香川元太郎/著

 歴史・時代小説を書いたり読んだりしていると、少しもどかしい気分に襲われたりしないだろうか。現代小説ならばいくらでもロケーションが想像できるし、最悪ネットサーフィンをすれば写真や映像も見つかる。しかし、過去を扱う歴史・時代小説だと、ネットでググっても現代の様子が出てきてしまうことが多く、往時の姿を想像するのはかなり難しい。結局のところ、歴史・時代小説を楽しむためにはビジュアルイメージをどれほど頭の中に抱えておくかが分かれ目になるわけである。
 さて、本日ご紹介するのは『ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 日本の城』香川元太郎/著、学研プラス)である。学研の『歴史群像』でずっと城郭復元図を担当してこられた著者による城郭イラスト集で、本書は日本中にある100城の鳥瞰図を一挙掲載している。
 鳥瞰図というのがミソだ。城郭本だと曲輪や周囲の地図などが掲載されていることが多く、平面的な構造はよく分かるのだが、起伏や他の施設との位置関係といった情報がなおざりになりがちである。その点本書は鳥の視点によって三次元的に在りし日の城やその周囲の姿を描き出してくれており、ひしひしと臨場感が伝わってくる。言うなれば、観光地によくある復元模型を見ている気分になるのである。
 また、ビジュアルイメージがメインである本書にもキャプションはしっかりついているので、予備知識がなくともある程度読み進めることができる。そもそも、知りたい部分だけつまみ読みをして、知らない部分に関しては「こんな城があるのか」と興味の入り口にすることもできるだろう。
 100城掲載というのもありがたい。戦国期の城だけではなく、律令体制下の城や幕末期に築城された城、関東のいわゆる「土の城(土塁でもって築かれた城のこと)」や、首里城、倭城(朝鮮出兵の際、日本軍が構築した城のこと)などについても紙幅を費やしているので、城というものの多様性や地域性、時代性を読み解くことも可能であろう。
 また、後ろのページではいくつかの城の天守閣の復元図も掲載されている。そちらを見比べるのもまた一興である。
 紙幅の事情もあり、中には選から漏れている城もある。本書だけですべてをカバーできるわけではないと釘を刺さなくてはならないが、往時のビジュアルイメージを知るとっかかりにするにはこの上ない一冊であるし、戦史ファン、戦国時代ファンの皆さんや戦国小説を書かれる方は一冊手元に置いておいても損のない一冊であろう。

出版社:学研プラス
刊行日:2018年6月19日
価格:3,400円+税
判型:単行本

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[平成30年(2018)10月2日]
歴史行路編集部

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