本タイトルは、江戸時代後期に生きた曹洞宗の僧侶である良寛法師の言葉、「優游復優游 ゆうゆうまたゆうゆう」にちなんで、先生ご自身が名付けられた。
 越後国の産で、生涯放浪の多かった良寛法師は、歌人でもあり、漢詩人でもあり、また書家でもあった。
 故郷を同じくする作家の漫筆録。

第6話

修羅場で慌てふためく

 大河「真田丸」、上田城攻城戦。信繁(幸村)が振る六文銭の旗、映画「七人の侍」で使われた旗(○×6+△×1)のイメージと重なった。工藤栄一監督の「十三人の刺客」も小数で多数にあらがうという黄金モチーフ。アラカンや片岡千恵蔵も出演していたが、出色は剣客を演じた西村晃(元水戸黄門)。刀を握れば無類の強さを発揮するものの、刀を失った途端に弱くなる。修羅場で慌てふためくさまが、じつにおもしろかった。街道筋の宿場に壮大な罠を築いて物狂いの殿様と家来衆を討つという筋立てが絶妙、三池崇史監督のリメイク版も迫力はあった。工藤監督はTV必殺シリーズも多く手がけ、路面を濡らして照明を当てた「濡らし」のテクニックで知られる。大好きな監督のひとり。

平成28年(2016)4月7日

坂岡 真

ささおか しん

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