幕府の圧迫を受ける姉の後桜町帝を助けるため、江戸に下った草薙京ノ介の活躍を描く、麻倉一矢の「雅や京ノ介」シリーズ第二弾が刊行された。朝廷と幕府の確執に加え、蠢動する南朝方との対決や、将軍職を巡る争いと、物語は重厚な構造を持っている。その渦中で京ノ介と、彼の仲間たちが、いかなる闘いを繰り広げるのか。ここがシリーズの読みどころだ。
前作で舞台が整ったからか、本書は最初からヒートアップ。後桜町帝の憂いを取り除くため、京ノ介は精力的に行動する。盗人宿の義賊たちから、水戸家の松平頼順と綾姫の兄弟まで、幅広い人脈を持つ京ノ介だが、本書ではさらに意外な人物が仲間になった。京ノ介を中心に広がっていく、熱き人の輪が気持ちいい。
さらに行方の知れない京ノ介の母親の正体が判明し、彼の出生の秘密も明らかになった。その一方で、敵対する南朝の皇子も登場し、ストーリーは錯綜する。ああ、面白い。だから続きが、一刻も早く読みたいのである。
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