武内涼の人気を決定した、「妖草師」シリーズの第四弾が刊行された。今回は短篇集で、五作が収録されている。人の心を苗（なえ）床（どこ）にして、この世に芽吹いた常（とこ）世（よ）の草木。それを刈り取る妖草師・庭（にわ）田（た）重（しげ）奈（な）雄（お）の活躍が、たっぷりと楽しめるのである。
　個々のストーリーも面白いのだが、本書で注目すべきは、ふたりの新キャラクターであろう。ひとりは幕府の命を受け、妖草妖木について学びにきた阿部かつら。重奈雄の恋人で、天（てん）眼（がん）通（つう）という特殊能力を持つ椿（つばき）は、かつらの存在が気に障（さわ）ってならない。
　もうひとりが、実在した本草学者の小（お）野（の）蘭（らん）山（ざん）だ。ひょんなことから重奈雄たちと知り合った蘭山だが、妖草妖木については懐疑的だ。このふたりが加わったことで、シリーズはさらに賑（にぎ）やかになった。
　さらに第五話「無（む）間（げん）如（にょ）来（らい）」では、予想外の妖草と、妖草によって完全武装した重奈雄が、過激なバトルに突入する。キャラ良し、ストーリー良しのシリーズは、ますます絶好調なのである。

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