史実を絡めたストーリーの中で、魅力的なヒーローを活躍させることに長けた麻倉一矢が、新たなシリーズを立ち上げた。田沼時代前夜の江戸に現れた草薙京ノ介。深川町外れの長屋で、京風の雅な芸を教えている。だが彼の真の目的は、女帝・後桜町天皇の命により、江戸に出た過激な尊皇派のふたりの公家を見守ることであった。
盗人宿の義賊たちから、水戸家の松平頼順と綾姫の兄妹まで、多くの人々を魅了しながら、襲いくる謎の忍びを撃退する京之介。山県大弐や藤井右門ら、六年前の宝暦事件の流れを汲む尊皇主義者たちが蠢動し、南朝の末裔を名乗る者たちが皇統転覆の野望を滾らせる。状況は、まことにもって複雑怪奇。だから、自らの出生の秘密を抱えながら、朝廷と幕府の衝突を回避すべく、身分を越えた仲間たちと共に行動する、京之介から目が離せないのである。
また、内通者の存在を匂わせて、次巻への引きも上々だ。面白いシリーズになりそうである。
〝将軍の影法師 葵慎之助〟シリーズはこちらです。
将軍の影法師 葵慎之助
拝命
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年7月1日
価格:650円+税
判型:文庫




将軍の影法師 葵慎之助
薄氷
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年10月7日
価格:640円+税
判型:文庫




将軍の影法師 葵慎之助
背水
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2017年3月3日
価格:640円+税
判型:文庫



