門田泰明の「拵屋銀次郎」シリーズの最新刊『俠客』の第二巻が刊行された。一日も早く続きが読みたいと、待ちわびていた人も多いだろう。さあ、本を開いて渇を癒そうではないか。
大店の内儀や粋筋の、化粧や着付けの拵え事を仕事にしている銀次郎は、老舗呉服問屋の隠居殺しから始まった、一連の騒動にかかわってきた。だが事態は、混迷の度合いを深める。まず、大奥大御年寄の絵島が襲撃される。さらに銀次郎の助手を務める仙が、何者かに攫われた。仙の行方を求める銀次郎の前に、やがて絵島や新井白石も加わった幕府の権力抗争と、謎の武士・床滑七四郎の存在が、浮かび上がってくるのであった。
あちこちに現れる番打ち小判(褒賞用の小判)の出どころ。床滑七四郎の正体。大坂に集まった俠客の動き。そして相次ぐチャンバラ。たくさんの読みどころを鏤め、銀次郎の魅力を際立たせた物語は、第三巻に続く。ああ、また一日も早く読みたいと思う日々が始まるのである。
〝拵屋銀次郎半畳記〟シリーズはこちらです。
拵屋銀次郎半畳記
俠客〈一〉
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年1月7日
価格:680円+税
判型:文庫




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