脳内会議 島左近編
島左近を書いてみないか――。
出版社さんの社長室でそんな打診があった時、わたしは恐慌をきたしました。
緊急招集された脳内会議。前頭葉の一室に詰めかけたネガティブなわたし(の分身)はこう言い募ります。
「島左近といったら既に色んな大作家がお書きになられているぞ!」
「お前、戦国物あんまり得意じゃないじゃないか!」
「というか谷津、お前に得意な時代なんてないだろう!」
罵詈雑言の嵐です。
が、そんな中、ポジティブなわたし(の分身)が脳内会議室のテーブルを掌で叩きました。
「いつやるの、今でしょ」
その流行語こそ「今じゃないでしょ」と反対派が呆れ返ったことで会議は決し、即座に脳内会議から出たわたしは目の前にいた出版社の社長さんに宣言しました。
「清水の舞台から飛び降りるつもりで頑張ります」
と。
そんなやり取りを振り出しに生まれたのが『某には策があり申す 島左近の野望』なのですが、思いのほか尖った小説ができましたのでぜひ。
[平成29年(2017)6月26日]