浪人者の銅雲斎、手跡指南の小森一展、富ヶ岡八幡宮の門前仲町に用心棒として雇われている菊村重岩太夫。元大仁戸藩士の老人三人組が、痛快な活躍をする幡大介の新シリーズ第二弾が、早くも刊行された。
前作では、彼らの過去に絡んだ、蝦夷地の銀五万両を巡る騒動が描かれていた。それを見事に解決した三人だが、今度は伊達藩の内紛に巻き込まれる。洒落ではないが、伊達藩名物の味噌を題材にしたところが、物語のミソであろう。
内紛の裏には、伊達藩の改易を企む一橋治済の思惑があり、そこには五万両の件も微妙に関係している。主人公三人が騒動に介入する経緯にも工夫が凝らしてあり、起伏に富んだストーリーが楽しめるのだ。
そして何よりも、銅雲斎たちが魅力的である。蝦夷地の地獄を生き抜いた三人は、権力にも豪剣にも怯まない。騒動に翻弄される若者たちを助け、悪党どもを打ちのめすのだ。一読、爽やかな気分になれる。これぞ時代エンターテインメントだ。
〝銅信左衛門剣錆録〟シリーズはこちらです。