元尼崎藩江戸家老の塩谷隼人と、道場主の日比野左内。老若ふたりの中條流の達人が活躍する、牧秀彦の「中條流不動剣」
シリーズは、第五弾で最高の舞台を誂えた。なんと六十五歳の隼人が、幕府の御前試合に招かれたのだ。十一代将軍家斉直々のお声がかりだという。だがその裏には、隼人を潰そうとする幕閣の、醜い思惑があった。左内たちと稽古を付け、かつて命を助けた公儀隠密の多美から情報を貰うなど、頼もしき仲間たちの協力を得て、隼人は御前試合に挑む。
といった流れで始まる御前試合は、凄まじい迫力。剣豪小説の面白さに満ちている。だが、この御前試合は、前座に過ぎなかった。見事に勝利したものの、かえって尼崎藩が窮地に陥る。剣の力ではどうにもならない苦境に、隼人がどう立ち向かうのか。彼が最後に選択した道は、万感胸に迫るものがある。それを支える仲間たちの奮闘にも、心が熱くなった。権力の理不尽に負けぬ、人間の輝きが、ここにある。
〝中條流不動剣〟シリーズはこちらです。
中條流不動剣〈一〉
紅い剣鬼
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年4月1日
価格:640円+税
判型:文庫




中條流不動剣〈二〉
蒼き乱刃
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年8月5日
価格:640円+税
判型:文庫




中條流不動剣〈三〉
金色の仮面
牧秀彦
/著
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年10月7日
価格:630円+税
判型:文庫




中條流不動剣〈四〉
炎の忠義
レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年1月7日
価格:630円+税
判型:文庫




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