どんなものにも穴を開ける珍商売「穴屋」の佐平次が帰ってきた。前巻で、自身の過去にケリをつけた彼は、へび使いのお巳よと夫婦になり、仕事に精を出している。旧知の絵師・葛飾北斎も加わり、佐平次の周囲は賑やかだ。シリーズ第二弾となる本書には、そんな穴屋のかかわる、五つの騒動が並んでいる。
第一話は、北斎経由で、奇妙な依頼がくる。屋敷に開けられた穴の意味を、突き止めてほしいというのだ。この難題に、見事に応えた佐平次。だが、話はさらに、予想外の方向に転がっていく。
といったように各話のほとんどは、曲折に満ちたストーリーになっている。特に第二話からは、北斎の命が狙われ、そこに遥か昔に死んだ平賀源内の影が差すのだ。さまざまな穴開けに挑む佐平次の手腕と、ミステリーの趣向がマッチして、最後まで楽しく読めるのである。
また第三話の内容で、築地市場の移転問題を想起させるなど、現代風刺も盛り込まれている。ここも風野作品の魅力なのだ。
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