老中・松平定信の密命を受け、朝廷の落ち度を探す禁裏付の東城鷹矢。その苦闘を描く、上田秀人の「禁裏付雅帳」シリーズも、第四弾となった。禁裏付の仕事は四面楚歌。家に戻れば、朝廷と幕府から送り込まれた、女性ふたりに挟まれる。どこもかしこも問題だらけの鷹矢が、新たに手をつけたのが、禁裏出入りの商人の不正であった。その下準備として錦市場に出かけ、物価調査を始めた彼は、さらなる試練に晒される。
ごく少数の味方と、打算込みの協力者はいるが、基本的に周囲は敵ばかりの鷹矢。しかし本書では、意外な実在人物が、彼の味方になってくれる。それが誰かは、読んでのお楽しみ。ストーリーに絡めて、無理なくこの人物を出してきた、作者のセンスが
また、終盤で将軍家の大秘事が明らかになるなど、いつもの上田節も健在。これでもかとネタを注ぎ込んで、とことん読者を楽しませる。だから新刊が出れば、手を伸ばさずにはいられないのだ。
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