無言を貫く凄腕の浪人・音無黙兵衛と、彼に惚れ込んだ若者の伊之助。長き旅を続けていたふたりだが、シリーズ第九弾となる本書で、ついに目的地の奈良に到着した。二十年前に奈良奉行だった水野忠秋の悪行。それに絡んだ、黙兵衛の父の死の真相。襲い来る敵を蹴散らしながら、ふたりは一連の騒動の真相に迫っていく。
その一方で、旅の途中で別れた伊之助を追う初美と、彼女に同行するおきさの、道中の様子。黙兵衛と敵対する荒垣
さらに、かつて黙兵衛の剣の師匠であった柳生新陰流の岡西佐久右衛門が、刺客として放たれた。次巻で完結ということで、ストーリーはクライマックスへと、怒濤の勢いで向かっているのだ。敵も味方も奈良へと集結する展開に、ワクワクせずにはいられない。この高まった期待に作者が、どう応えてくれるのか。