現代アクション小説で活躍していた門田泰明が、文庫書き下ろし時代小説の執筆を始めてから、すでに十年以上の歳月が過ぎた。その作者の最新シリーズが、「拵屋銀次郎半畳記」である。本書は『無外流 雷がえし』に続く、待望の第二弾だ。
大店の内儀や粋筋の、化粧や着付けの拵え事を仕事にしている銀次郎は、老舗呉服問屋「京野屋」の隠居・文左衛門が斬殺された事件の探索に乗り出した。仕事が縁で、隠居と面識があったからである。かつて勘定吟味役の密命を受け、隠密調査役をしていたという文左衛門。そこに事件の原因があるのか? 探索を進める銀次郎は、やがて犯人の正体を掴む。だが――。
隠居殺しを皮切りに、次々と起こる事件。意外な形で判明する、犯人の正体。大奥総取締の絵島の接触。侠客たちの不審な動き。さまざまな読みどころと、銀次郎の魅力を鏤めて、物語は次巻に続く。この話、どこに向かっていこうというのか。先が楽しみでならないのだ。