書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

世直し! 河童大明神

立花水馬/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年12月2日
価格:650円+税
判型:文庫

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 デビュー作を含む連作『虫封じ〼』で、新たな妖怪時代小説の可能性を見せてくれた立花水馬が、またやってくれた。本書は、人間と河童が手を携えて悪に挑む、ユニークな作品である。
 家財を投げうって新堀川の普請を成し遂げたものの、長屋でわびしく死んだ合羽屋の喜八。息子の喜助は、弔問に訪れた河童のぎーちゃんから、憎んでいた父親の普請を、「世の為人の為」が好きな、大勢の河童が助けていたことを知った。これを機に喜助は、名を喜八に改める。そして、ぎーちゃん共に、さまざまな事件にかかわることになるのだった。
 子供攫いに、連続殺人。人間と河童が相棒になって、事件に立ち向かっていく。ミステリー仕立てのストーリーが、愉快痛快だ。
 しかも一連の事件を追う過程で、「世の為人の為」の真の意味が浮き彫りになる。誰かの為に尽くすことで、己も満足する。そんな人間だけの在り方を、人間と河童、主人公たちと悪党を対比させて、鮮やかに表現していたのである。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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