書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

うつけ世に立つ

岐阜信長譜

早見俊/著

出版社:徳間書店
刊行日:2016年9月9日
価格:2,000円+税
判型:四六判上製

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 来年二〇一七は、織田信長の岐阜命名と岐阜入城から、ちょうど四五〇年目に当たる。それを記念した岐阜市の〝信長公450プロジェクト〟の、特別コラボレーション企画として、本サイトに連載された『せいすいの都 岐阜信長譜』が、ついに一冊にまとまった。タイトルを『うつけ世に立つ 岐阜信長譜』と変えた物語は、大幅な加筆修正がなされている。すでに本サイトで読んだという人も、あらためて書籍版を手にしてもらいたい。
 物語は、織田信長が美濃を手に入れ、井口を岐阜という地名に変えるところから始まる。誰もが笑って暮らせる平穏の世を創るため、せいさんで非情な戦を続ける信長。あまりに大きな彼の言動の振幅に、周囲の人々の心が揺れる。実在人物と架空の人物を巧みに配した作者は、彼らの揺らぎを通じて、さつりくの魔王であると同時に文化人でもある、斬新な信長像をきつりつさせたのだ。信長好きとして知られる早見俊だから書けた、優れた戦国小説なのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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