書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

平賀源内江戸長屋日記

颱風秋晴

福原俊彦/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年9月2日
価格:630円+税
判型:文庫

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 俊英・福原俊彦の「平賀源内江戸長屋日記」シリーズの第三弾が、早くもじょうされた。マルチな才能を持つ平賀源内と、彼の暮らす長屋の面々は、三つの騒動に立ち向かう。
 第一話「源内印かたりの騒動」は、源内の名を騙った、粗悪なくしかんざしが売られ、騒動が持ち上がる。その裏で糸を引いていたのは、町医者の拓栄こと宗源であった。前作からの因縁を引きずった、ふたりの闘いが読みどころだ。
 そして源内にさくの弟子入りをした役者を巡る騒動を描いた、第二話「源内弟子入りの騒動」を間に挟み、第三話「吉原女郎かぐや姫の一件」で、再び源内と宗源が激突。大身旗本に女郎が〝ねずみの皮衣〟をねだるという、『竹取物語』もどきの話の裏で、宗源の陰謀がうごめく。その陰謀を破る道具として、源内の発明品として知られる〝かん〟を持ってきたのは、作者の手柄であろう。
 また、意外な人物が宗源の心の闇を見抜くなど、読みどころは多い。このシリーズ、絶好調である。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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