書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

風流大名

吉原の夕

北川哲史/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年9月2日
価格:610円+税
判型:文庫

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「北町裏奉行」「将軍付御目安番」シリーズなどで知られる北川哲史が、本書で徳間文庫に初お目見えした。主人公は、姫路藩主の榊原まさみね。幕府の威光もなんのその、吉原の七代目高尾太夫たゆうを身請けする。今は、しずやと名乗る高尾太夫と、浴衣姿で江戸を散策するのが、政岑の楽しみだ。
 そんなふたりが、さまざまな事件に遭遇する。第一章「吉原残照」では、商家の長男と元遊女の心中に不審を覚えたふたりが真実を追う。続く第二章「市松模様」では、芝居見物中に舞台で起きた、不可解な事件に首を突っ込んでいく。風流大名と元高尾太夫という異色のカップルが、素人探偵となって、江戸を闊歩。その自由自在な活躍が、なんとも気持ちいいのだ。
 そして第三章「家康公展覧余話」では、姫路藩の上屋敷から、神君所縁ゆかりあおいの香炉が盗まれる。藩を揺るがす騒動を政岑は、いかにして収めるのか。物語のラストに相応ふさわしい〝探偵自身の事件〟を、大いに楽しんだのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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