書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

もんなか紋三捕物帳

洗い屋

井川香四郎/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年9月2日
価格:650円+税
判型:文庫

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

 多数の出版社を股にかけて展開している、井川香四郎の「もんなか紋三捕物帳」シリーズの第七弾が刊行された。十八人の岡っ引を子分とする、キング・オブ・岡っ引の紋三。今度はいかなる事件に挑むのか。
 本書には短篇四作が収録されている。第一話「壊し屋」は、江戸を騒がせる〝壊し屋〟の裏に潜んだ企みに、紋三たちが向かっていく。第二話「運び屋」は、訳ありの物でも引き受ける〝運び屋〟のかかわった殺人事件が、公害問題にまで発展する。第三話「だまし屋」は、商家の主人の連続首吊り事件から〝騙し屋〟たちの過去の罪が暴かれた。どれもユニークな裏の仕事を、事件に絡ませたところに、物語の特色がある。
 もちろん第四話「洗い屋」もそうだ。しかも登場するのが、「洗い屋十兵衛」シリーズの主人公・月岡十兵衛である。ひとりの男をほんろうする怪事件を巡り、ふたりのシリーズ・キャラクターが共演するのだから、嬉しくてたまらない。ファン・サービスに満ちた一篇だ。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

著者紹介ページへ
[PR]