書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

平賀源内江戸長屋日記

青嵐薫風

福原俊彦/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年8月5日
価格:640円+税
判型:文庫

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 俊英・福原俊彦の「平賀源内江戸長屋日記」シリーズは、第二弾にして、早くも新たな展開を迎えた。収録されているのは、やや長めの短篇三作。第一話「菓子屋立て直しの騒動」では、江戸の才人・平賀源内が、潰れかけた菓子屋を再建したものの、それが引き金になり殺人事件が発生する。
 続く第二話「北町奉行所同心の事情」は、手札を貰っている北町奉行所の同心の様子がおかしいと、女御用聞きのお祥から源内が相談を受けたことを切っかけに、悪党の存在が暴かれる。そして第三話「大名家留守居番の紛糾」では、大名家の騒動の裏で、宗源という医者が暗躍するのだ。
 第一話で、源内の行動が悲劇を生む原因になり得ることを表現した作者は、第二話で名前を出した宗源の存在を、第三話でクローズアップ。源内と通じ合う知識の持ち主でありながら、相容れない敵として、これからも事件を巻き起こすことを匂わせる。この悪党医者の登場により、シリーズがさらに面白くなりそうだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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